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設備設計ってなにをやるの?仕事の内容は?

設備設計を知りたい人

設備設計ってどなにをやるの?
どんな仕事なの?

この記事では、こういった質問にお答えします。

「設備設計という名前は聞いたことあるけど、実際の仕事はどんな内容なんだろう?」

正直「設備ってなに?」って感じですよね。

でも大丈夫!

筆者が色々な現場で働いた経験を踏まえて詳しく解説していきたいと思います。

拙者丸

どうも拙者丸でござる!
今回は設備設計が何なのかを学ぶでござる!

設備設計とは

建築物の設計は大きく分けると3つに分かれます。

3つの建築設計
  • 意匠設計
  • 構造設計
  • 設備設計

意匠設計は建物のデザイン。

構造設計は建物の骨組み。

そして、設備設計は建物の設備の設計を行います。

建築設計についての詳細はコチラの記事をご覧ください。

建築設計ってなにをやるの?仕事の内容は?建築設計のお仕事の内容を詳しく解説します。どんな仕事をするのか。どんな人達と関わるのか。お給料はどれくらいか?このような質問にお答えします。...
拙者丸

ぐぬぬぅ。建物の設備・・・。
設備って例えばなんでござるか?

建物の設備とは

では、建築設備とはいったいどのようなものなのか。

建築基準法では以下のよう定義されています。

建築基準法

建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。

ザックリ説明すると建物のインフラに関係する設備を建築設備というのです。

電気であれば照明であったり、コンセント、インターネット。

ガスであれば調理器具。給水、排水であればキッチンやトイレの水回りの器具となります。

拙者丸

拙者の部屋にはインターネットを所望するでござる!

建築基準法に記載している通り、設備の分野は多岐に渡ります。
そのため、もう少し細かく分類分けされて名前が決まっているのです。

設備設計の種類

設備設計には大きく分けて機械設備設計と電気設備設計に分かれます。

そして機械と電気の中でも以下のように細分化されるのです。

機械設備設計
  • 衛生設備
  • 空調設備
  • 消火設備
  • ガス設備
電気設備設計
  • 強電設備
  • 弱電設備
  • 受変電設備

これらを全て一人で行う人もいれば、機械設備設計専門の人もいます。

ただし、これらを全て一人でできる方は珍しく相当なスペシャリストと言って良いでしょう。私も過去に数人程しか見たことはありません。

上記以外にもたくさんの分野が存在します。そしてその区分けはその時の工事だったり、企業や地域によって微妙に異なります。

拙者丸

設備にもいろいろあるのは分かったでござる。
でも実際どんなことをするでござるか?

設備設計の仕事内容

では具体的にはどのような仕事なのでしょうか。

先ほどの細分化された分類についてもう少し詳しく見てみましょう。

設備設計の仕事内容
  • 衛生設備・・・水回りの設備。トイレやお風呂、洗面台など
  • 空調設備・・・部屋の換気と冷暖房に関する設備
  • 消火設備・・・消火器やスプリンクラーの消火設備
  • ガス設備・・・調理機などのガスに関する設備
  • 強電設備・・・エレベーター等の電気をたくさん使う設備
  • 弱電設備・・・電話やインターネット、TVなど

少しイメージが付いてきたのではないでしょうか。

これらの機器や器具の仕様を決定して、配置場所を決定したり、配管、配線の太さや、ルートを決める作業を行います。

もう少しイメージがしやすい様に具体的に詳しく解説しましょう。

仕事の具体例

今回は学校の衛生設備の上下水道についてテーマを絞って解説します。

学校の水回りに関する設計を行うには以下のような工程が必要となります。

1.学校の水回りの設備を考える

まず始めに学校の水回りの設備を思い出してみましょう。
以下のようなものが考えられます。

  • トイレ
  • 水飲み場
  • 家庭科室の調理台
  • 職員室の事務用流し

次に、これら器具の仕様や個数などの詳細を考えます。

2.機器の選定

水が必要な箇所が決まりました。
今度はどんな器具が何個必要なのか決定します。

例えばトイレであればウォシュレットが必要なのか、壁にリモコンは設置するのか。洗面台であればお湯は出るようにするのか、高さや間口はどれくらいにするのか。

それぞれの器具に対して細かく条件を設定し品番を決定します。

器具の詳細が決まりました。
次は建物にどれだけ水を供給すればよいのか給水量を算定します。

3.給水量の算定

次に、これらの器具の使用水量を元に全体の給水量(どれだけ水が必要か)を算定します。

その計算方法は器具を元に計算する方法だったり、人数を元に計算する方法だったり色々な物が存在します。

必要な給水量が決定すれば、建物の給水方式が決まります。

これらの計算や建物の階数などによって、給水ポンプが必要なのかどうか等が決まってくるのです。

次はこれら決定した給水方式を図面に反映させます。

4.図面への反映

意匠設計で作成された建築図の上に器具の記号や、配管の線を書き込んでいく作業です。

これらの図面はCADで作成していきます。
CADとはパソコンで使用する図面作成ソフトウェアのことです。

だいぶ簡単に説明いたしましたが、どの設備もこのような流れを辿りながら作業を進める形になります。

大まかな仕事の流れについてはコチラの記事をご覧ください。

建築設計ってなにをやるの?仕事の内容は?建築設計のお仕事の内容を詳しく解説します。どんな仕事をするのか。どんな人達と関わるのか。お給料はどれくらいか?このような質問にお答えします。...

やりがい

建築設備はいわゆる省エネルギー化に貢献する部分が大きい分野です。

地中熱を利用した冷暖房であったり、熱交換型の換気扇であったり、いかに1次エネルギーを使用せずに地球温暖化対策を行っていくか。

これらは建物だけではどうすることもできない分野になります。

昨今の省エネルギー意識は、企業だけではなく一般住宅にも及んでいます。

一般住宅であれば少しでも光熱費を抑えたい、企業であればビルの維持管理費を抑えたいという要望は非常に多くなっています。

ゼロエネルギーを目指して光熱費を極限まで抑えることをコンセプトにした住宅も販売されている状況で、非常に需要のある職業なのは間違いありません。

世界規模で貢献できる職業と言っても良いでしょう。

設備設計の仕事に就くには

設備設計の仕事に就きたい人

どうすれば設備設計の仕事に就くことが出来るの?

設備設計の仕事に就く場合は特に必要な資格はありません。

周りにも庭違いの分野から飛び込んできた方も多かったですし、資格を保有していない方もたくさんいました。応募さえあれば働ける職業です。

ですがやはり、建築系の学科のある大学や、専門学校で学んだ後に建築事務所などの現場で経験を積むという流れがベストかと思います。

資格は必ずしも必要ではありませんが、資格を保有していなければ任せてもらえない役割があります。

しかし、慢性的に人手不足な業界ですので、就職には困らないと考えております。私が働いていた時も周りはお爺ちゃんだらけでした(笑)

やる気さえあれば資格の保有に関わらず飛び込んでみることをお勧めします。そして、就職した後に実務経験を積みながら資格取得を目指すのが良いでしょう。

必要な資格と能力について、例えば次のようなものがあります。

必要な資格と能力

必要な資格

・設備設計一級建築士

・建築設備士

昨今で一番有名なのは建築設備士です。
この資格を保有していれば非常に重宝されるでしょう。
設備設計一級建築士は非常に難易度が高いので最初は無視して良いです。

その他の資格についてはコチラをご覧ください。

建築設計におすすめの資格一覧表取得して損はしない資格の一覧表です。自身のスキルアップの参考にしてください。...
必要な能力

・パソコンを使える

・Word、Excelで諸官庁提出書類や、打合せ資料を作成

・PowerPointでプレゼン資料の作成

・CADで図面を作成

・コミュニケーション能力

ほとんどの仕事をパソコンで行います。
Word、Excel、PowerPointは使えたほうがもちろんよいでしょう。
CADに関しては、設計事務所によって導入しているCADが違います。
CADの操作はすぐに覚えられると思いますので、概念さえ把握しておけばよいでしょう。
そして、人との関りがとても多いので最低限のコミュニケーション能力は必要となります。

給与について

設備設計に携わる人の年収はおよそ250万~800万程度が相場です。

その中でも図面を描く専門のCADオペレーターの年収は比較的低めといって良いでしょう。

やはり建築設備士や設備設計一級建築士のような資格取得も大変で、責任のある立場ほど年収は高くなります。

少しでも年収UPを目指したいのであれば、資格を取得することをオススメ致します。

まとめ

以上、設備設計の解説でしたが、いかがでしょうか。

建築設計の花形はやはり意匠設計。
建物の顔となる部分ですので設計をするのであればやはり意匠と思っている方も多いでしょう。

しかし、建築物に対する満足度を底上げするのは建築設備によるところが非常に大きいです。

極論ですが、家が隙間風だらけでも暖房さえしっかりしていればお金は掛かるけれども寒い思いはしません。トイレやお風呂のない生活など考えられるでしょうか?

そして意匠設計と同じく、まだまだこの分野は自動化できるレベルには達していません。
地方自治体によっての仕様が決まっていたり、法律にかかわる部分、省エネ規制も年々更新されていく中で作業全体の自動化は不可能に思います。

設備設計はきつい仕事ではありますが、人に寄り添う仕事という面でやりがいは十分にあるでしょう。