建築士法ってどんな法律?
この様な質問にお答えします。
建築士法とは
建築士法は今から約70年前、1950年(昭和25年)4月の第7回通常国会に、田中角栄を筆頭提案者として提出、成立されました。
そして、建築士法が制定された目的は建築士法の第1条にこう書かれています。
この法律は、建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、その業務の適正をはかり、もつて建築物の質の向上に寄与させることを目的とする。
建築士法 第1条 目的
ようは質の良い建築物を建てる為に、設計・監理を行う者の資格を法律で定めようという事です。
ちなみにこの法律に違反した場合の罰則についても詳しく決められています。
例えば資格もないのに建築士の名を語ってお仕事をした場合には1年以下の懲役又は、100万円以下の罰金となります。
この様に、建築士法には建築士の業務範囲や受験資格、罰則まで細かく規定されているのです。
では、そもそも建築士法の建築士とは一体何者なのか見ていきましょう。
建築士とは
建築士法の中で建築士とは下記の3つのいずれかの免許を持つ人の事をいいます。
- 一級建築士
- 二級建築士
- 木造建築士
資格をこれら3つに分けることにより、それぞれの設計・工事監理のできる建築物の範囲を定めているのです。
建築士法ではこれら3つの建築士以外の資格についても定められています。
- 建築設備士
- 構造設計一級建築士
- 設備設計一級建築士
- 管理建築士
一級・二級・木造建築士の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
ようするに、建築士法の第1条に書かれている「技術者の資格」=「建築士」という意味です。
この法律は、建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、その業務の適正をはかり、もつて建築物の質の向上に寄与させることを目的とする。
建築士法 第1条 目的
では、次に設計、工事監理とはどのような意味なのか確認していきましょう。
建築物の設計・工事監理とは
設計、工事監理についても建築士法の中できちんと定義されています。
この法律で「設計図書」とは建築物の建築工事の実施のために必要な図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書を、「設計」とはその者の責任において設計図書を作成することをいう。
建築士法 第2条 定義
この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。
建築士法 第2条 定義
設計とは建築物を工事する時に必要な図面、仕様書を作成する事。
工事監理とは図面、仕様書通りに工事されているか確認する事。
となります。
建築設計についてはこちらの記事をご覧ください。
建築士法の構成
これら建築士とは何なのかというところから受験資格や、罰則まで定められている建築士法の構成は下記のようになっています。
もちろんこの建築士法は建築士の試験内容に含まれていますので把握しておかなければなりません。
- 第1章 – 総則(第1条 – 第3条の3)
- 第2章 – 免許等(第4条 – 第11条)
- 第3章 – 試験(第12条 – 第17条)
- 第4章 – 業務(第18条 – 第22条の3)
- 第5章 – 建築士会及び建築士会連合会(第22条の4)
- 第6章 – 建築士事務所(第23条 – 第27条)
- 第7章 – 建築士事務所協会及び建築士事務所協会連合会(第27条の2 – 第27条の5)
- 第8章 – 建築士審査会(第28条 – 第33条)
- 第9章 – 雑則(第34条 – 第37条)
- 第10章 – 罰則(第38条 – 第44条)
まとめ
以上、建築士法の解説でしたがいかがでしたでしょうか。
建築士法とは、建築士に関する内容が規定された法律です。
建築士が何者かを定め、建築物の質を保つためには非常に重要な法律となります。
そして、建築士資格の取得を目指すのであれば、もちろん内容を把握しておくことが必要です。
建築設計自体は建築士の資格がなくとも所属する会社が設計事務所登録を行い、有資格者の指導のもとであれば図面を描いたり設計補助を行う事ができます。
ですが、現在一級建築士の資格を保有している人数は約37万人といわれており、建築設計を行う上ではあたりまえの資格となりつつあるのです。
建築士を目指しているのであれば是非とも読んでみてくださいね。