管理建築士って何をするの?
一級建築士とどう違うの?
このような質問にお答えします。
- 管理建築士の概要
- 管理建築士講習の受講資格
- 管理建築士講習の内容
- 管理建築士講習 修了考査の合格率
- 管理建築士資格の取得メリット
- 管理建築士の年収
管理建築士とは
管理建築士とは一体何者なのか?
まずは建築士法を確認してみましょう。
建築士事務所の開設者は、一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所ごとに、それぞれ当該一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所を管理する専任の一級建築士、二級建築士又は木造建築士を置かなければならない。
建築士法 第24条 (建築士事務所の管理)
前項の規定により置かれる建築士事務所を管理する建築士(以下「管理建築士」という。)は・・・
簡単に説明すると、建築士事務所には必ず管理建築士が必要という事です。
そして、その管理建築士は一級・二級・木造建築士のいずれかでなければなりません。
では、その管理建築士がなぜ必要なのか?どのような役割があるのか?確認してみましょう。
管理建築士の役割
管理建築士は、その建築士事務所の業務に係る技術的事項を総括し、開設者に対し、技術的観点からその業務が円滑かつ適正に行われるよう必要な意見を述べるものとされています。
技術事項とは次のようなものが挙げられます。
- 受託する業務の量、難易度及び遂行期間の判定
- 業務に当たる技術者の選定及び配置
- 他の建築士事務所との提携及び提携先に行わせる業務範囲案の決定
- 建築士事務所に所属する築士等の技術者の業務管理とその適正の確保
このように、建築設計事務所の管理を行う役割を担っているのが管理建築士なのです。
では、この管理建築士の資格はどうすれば取得できるのでしょうか。
管理建築士の受講資格
管理建築士となるには、建築士事務所に所属する建築士として3年以上の設計、その他の国土交通省令で定める業務に従事した後、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行う「管理建築士講習」の課程を修了することとされています。
業務としては以下のものが認められます。
- 建築物の設計に関する業務
- 建築物の工事監理に関する業務
- 建築工事契約に関する事務に関する業務
- 建築工事の指導監督に関する業務
- 建築物に関する調査又は鑑定に関する業務
- 建築物の建築に関する法令又は条例の規定に基づく手続の代理に関する業務
建築物の施工管理(施工図の作成や安全管理等を含む。)は受講資格の対象業務としては認められません。
管理建築士講習の内容
講習は1 日で実施し、テキストを使用した講義(5 時間)と修了考査(1 時間)の構成になります。
なお、講義及び講義と修了考査を別々の日で受けることはできません。
また、講義はDVD又は講師により行います。
受講すべき講義の一部でも欠席した場合は、修了考査を受けることができません。
講習は、下記「講習の時間割」により行います。
項目 | 内容 | 時間 |
---|---|---|
受講説明 | ・講習概要の説明、注意事項の説明 | 10分 |
講義 | ・建築士法その他の関係法令に関する科目 ・建築物の品質確保に関する科目 | 5時間 |
修了考査 (テキスト参照可) | ・建築士法その他の関係法令に関する科目 ・建築物の品質確保に関する科目 ・30 問、正誤方式 | 1時間 |
ちなみに講習に一級、二級及び木造の区分はなくどの建築士も同じ講習内容で、受講代はテキスト代と消費税込みで16,500円となります。
※これらは令和2年度の内容となります
修了考査の合格率
管理建築士講習の修了考査の合格率は特に設定されていません。
問題は建築士法その他関係法令に関する科目と、建築物の品質確保に関する科目の両方で30問の正誤式で、時間は1時間です。
法令集は持ち込めませんが、講習当日配布されたテキストの持込みは可能です。
修了率は99%程度で、ほぼ全員が合格するといっても良い内容です。
管理建築士の資格取得メリット
設計事務所を開設するには建築士事務所の登録が必要になります。
その建築士事務所登録には、必ず管理建築士が必要になるのです。
ご自分で事務所を構えたい場合は講習受講が必須となるでしょう。
ですが、管理建築士である以前に建築士でなければいけません。
前提資格が一級建築士・二級建築士・木造建築士かによってもメリットは大きく変わりますので注意が必要です。
当然ですが、一級建築士が一番有利です。
独立したいのであれば、まずは一級建築士の取得を目指しましょう。
一級建築士についてはこちらの記事がおすすめです。
管理建築士の年収
管理建築士の年収は一概には言えません。
理由としては先に述べた通り前提資格が一級なのか木造なのかでも差がありますし、ご自分で独立しているのか、ただの名義貸し程度の業務なのかによって異なるからです。
管理建築士の立場でありながら、設計・監理業務もバリバリとこなしているのであれば、所有している建築士資格と同等の収入+αを得られるでしょう。
しかし、一級建築士の年収も300万~1000万円が相場と開きがあります。
年収UPを目指して取得する資格ではなく、必要であれば取得する程度と考えておきましょう。
まとめ
以上、管理建築士の解説でしたがいかがでしょうか。
管理建築士は建築士事務所の業務のうち、建物の設計、工事監理に関することなど、「技術的な事項を統括する建築士」です。
そして、建築士事務所を開設する場合には、管理建築士の常駐が必要になります。
ご自分で独立を考えていたり、所属する事務所の世代交代など必要に迫られた際に取得する資格と考えておいて良いでしょう。
年収UPを目指すのであれば一級建築士を取得し、上位資格である構造設計一級建築士や、設備設計一級建築士の取得を目指すことをおすすめします。